大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 昭和45年(わ)31号 判決

本店所在地

大阪市天王寺区勝山通四丁目六九番地

名称

信和シヤツ株式会社

代表者氏名

坂本茂明

本籍

大阪市天王寺区鳥ヶ辻町一二番地

住居

同市阿倍野区文の里三丁目一一番二一号

職業

信和シヤツ株式会社々長

氏名

坂本茂明

年令

大正九年七月二七日生

右両名に対する法人税法違反被告事件について、検察官宇都宮龍一出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人信和シヤツ株式会社を罰金四〇〇万円に、被告人坂

本茂明を懲役八月に処する。

被告人坂本茂明に対し本裁判確定の日から二年間右刑の執

行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告人信和シヤツ株式会社は、大阪市天王寺区勝山通四丁目六九番地の本店を置き、シヤツの製造販売業を営むもの、被告人坂本茂明は、被告人信和シヤツ株式会社の代表取締役としてその業務を統括しているものであるが、被告人坂本茂明は、被告人信和シヤツ株式会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一、被告人信和シヤツ株式会社の昭和四〇年一二月一日から昭和四一年一一月三〇日までの事業年度において、その所得金額が五三、〇〇三、一九九円、これに対する法人税が一八、四〇二、六〇〇円であるにも拘らず、公表経理上、原材料売上金の一部を除外しかつ架空仕入を計上するなどの不正行為により、右所得金額中二一、一〇七、六二五円を秘匿したうえ、昭和四二年一月三一日、大阪市天王寺区天王寺税務署において、同署長に対し、右事業年度分の所得金額が三一、八九五、五七四円、これに対する法人税額が一〇、八〇六、七一〇円である旨過少に虚偽記載した法人税確定申告書を提出し、よつて同年度分の法人税七、五九五、八〇〇円を免れ、

第二、被告人信和シヤツ株式会社の昭和四一年一二月一日から昭和四二年一一月三〇日までの事業年度において、その所得金額が四九、六四五、四一二円、これに対する税額が一六、六七二、五〇〇円であるにも拘らず、前同様の不正行為により、右所得金額中一三、六一四、六四〇円を秘匿したうえ、昭和四三年一月三一日、前記天王寺税務署において、同署長に対し、右事業年度分の所得金額が三六、〇三〇、七七二円、これに対する法人税額が一一、九〇九、一〇〇円である旨過少に虚偽記載した法人税確定申告書を提出し、よつて同年度分の法人税四、七六三、四〇〇円を免れ、

第三、被告人信和シヤツ株式会社の昭和四二年一二月一日から昭和四三年一一月三〇日までの事業年度において、その所得金額八〇、〇一九、二五〇円、これに対する法人税額が二七、〇四九、八〇〇円であるにも拘らず、前同様の方法および棚卸商品の一部を除外するなどの不正行為により、右所得金額中三二、七一三、一九一円を秘匿したうえ、昭和四四年一月三一日、前記天王寺税務署において、同署長に対し、右事業年度分の所得金額が四七、三〇六、〇五九円、これに対する法人税額が一五、六〇三、二〇〇円である旨過失に虚偽記載した法人税確定申告書を提出し、よつて同年度分の法人税一一、四四六、六〇〇円を免れ

たものである。

(証拠)

判示各事実につき

一、被告人信和シヤツ株式会社の登記簿謄本および定款

一、天王寺税務署長作成の証明書(右被告人会社の判示各事業年度分法人税確定申告書添付)三通

一、次の者らの各検察官に対する供述調書

嶋吉敏一、伊丹良雄、被告人坂本茂明(三通)

一、収税官吏作成の次の者らに対する各質問てん末書

小野熙幸、服部留雄、嶋吉敏一(二通)、高田和雄

被告人坂本茂明(五通)

一、次の者ら作成の各確認書

小野熙幸、嶋吉敏一、竹端庄三(二通)、佐藤尚志、

榊喜文、藤井稔、大前謹一、青沼淳之助、水野千尋

宇上明夫、伊丹良雄、被告人坂本茂明(三通)

一、榊嘉文作成の収税官吏に対する申立書

一、株式会社新大阪ホテル作成の大阪国税局宛調査嘱託事項に対する回答書

一、収税官吏柴田一郎作成の調査書四通

一、次の各押収物件

被告人坂本茂明の手帳一冊(昭和四五年押第四〇〇号の一)、昭和四三年度原反在庫表一綴(同号の二)、在庫関係表一綴(同号の三)、在庫表一綴(同号の四)、在庫表五綴(同号の五)、在庫表一綴(同号の六)、一三期仕入帳三冊(同号の七)、一四期仕入帳三冊(同号の八)、一五期仕入帳三冊(同号の九)、一五期棚卸表一綴(同号の一〇)、一五期決算関係書類一綴(同号の一一)、ノートブツク(預金明細帳)一冊(同号の一二)決算メモ一綴(同号の一三)、原反預り品メモ一綴(同号の一四)、領収証一綴(同号の一五)、当行普通預金通帳(木下藤吉郎義)一冊(同号の一六)、売上帳(昭和四二年一二月より昭和四三年一一月までの分)一綴(同号の一七)、仕入帳(昭和四〇年一二月より昭和四一年一一月までの分)一綴(同号の一八)仕入帳(昭和四二年一二月より昭和四三年一一月までの分)一綴(同号の一九)、仕入帳(昭和四一年一二月一日より昭和四二年一一月三〇日までの分)一綴(同号の二〇)、仕入帳一冊(同号の二一)、仕入帳四綴(同号の二二)、売上帳四綴(同号の二三)、領収書綴一綴(同号の二四)印鑑(ゴム印)二個(同号の二五)、仕入帳(昭和四〇年六月二一日より昭和四一年六月三〇日までの分)一綴(同号の二六)、買入伝票三冊(同号の二七)、大東京火災海上保険株式会社関係自動車火災保険料領収書一綴(同号の二八)、原反預ケ品明細書(同号の二九)

(法令の適用)

被告人信和シヤツ株式会社の判示各行為はそれぞれ法人税法一五九条一項、一六四条一項に該当するところ、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により各罰金額を合算した金額の範囲内で同被告人を罰金四〇〇万円に処する。

被告人坂本茂明の判示各行為はそれぞれ法人税法一五九条一項に該当するところ、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に決定の加重をした刑期範囲内で尚被告人を懲役八月に処し、情状により同法二五条一項を適用して同被告人に対しこの裁判確定の日から二年間同刑の執行を猶予する。

(裁判官 梶田英雄)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例